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『手指の麻痺に対する促通反復療法(川平法)の実際』 

『手指の麻痺に対する促通反復療法(川平法)の実際』

― 令和元年7月 川平和美先生が中国の杭州にて体験会と講習会を開催 ―

         1週間 アシスタントをさせて頂きました!!

 

TC研究会 理学療法士の梅澤拓未です。中国生活13か月が経過しました。

仕事は何とか一進一退で頑張っているというところですが、中国語と太極拳は日々の努力が実り 中国語は中国政府認定の語学の資格であるHSK(漢語水平考試)4級の試験に合格することができました。HSK1級~6級まであり6級が最も上の級で4級合格のレベルは “中国語でコミュニケーションをすることができ、中国語を母語とする者と流暢に話すことができる” とされています。

実際私のレベルは全くそうではなく簡単な内容であれば話しができるというより何とか通じるという状態です。

今後頑張って1年以内に6級を目指します。

もう一つの太極拳はというと最も基本的とも言われている簡化24式太極拳(中国政府が第2次世界大戦後に健康増進効果を目的として、誰にでも学ぶことのできる新しい太極拳を、国家体育運動委員会を通じて『制定拳』として普及させた)という部門で地域の小さな大会ですが入賞することができました。

この二つに関しては週6日働きながら少ない空き時間を見つけて、コツコツやってきた成果であり、よく頑張ったと自分でも思います。まぁ私の自慢話はここまでとして、今回の内容は題名にもありますが、促通反復療法(川平法)の創始者である川平和美先生が昨年に引き続き悠康(私の所属会社)の体験会と講習会のために訪中して下さり、その際アシスタントをさせて頂き大変貴重な経験を得たのでそのお話と今までお話ししていなかった促通反復療法の特徴でもある上肢(特に手指)についての内容を中心にお話しさせて頂こうと思います。

これは私自身がこの療法を勉強し実践してきた私見ではありますが、最も参考にしているものはPNFのような感じがします。

そして大きな違いとしては手指に対するものが数多くあり、指一本ごとに訓練方法があるということです。想像して頂くと理解いしやすいと思いますが、脳や脊髄の神経細胞や神経線維が損傷したりその量が減少した時に何の対応もせずにうまく動かせるようになると思いますか?

特に手指に関しては私たち人類が直立二足歩行になり最も後の方にになって獲得した機能であり大脳皮質の大きな領域を支配しているわけです。通常赤ちゃんが系統発生的に運動機能を獲得していく過程とは違うわけです。

そこで促通反復療法のように何かしらの助けが必ず必要となるのは言うまでもありません。

これは現在最も注目されている再生医療後の運動機能の改善過程にも同様のことが言えるのではないかと考えます。

 それでは今までの復習になりますが、促通反復療法の特徴を挙げてみます

・伸張反射や皮膚筋反射を利用

(患者さんが思った通りの運動を簡単に出しやすくするため)

1部位に対して100回程度の促通を行う

(神経路の形成と強化には、興奮を繰り返すことが重要)

・誤りなき学習をさせることが必須

 (よくあるのが患者にできない動きを繰り返させてしまう為 神経路が強化されない)

・口頭指示もしっかりと利用しより意図した随意運動を促す

 

上記のことをしっかりと頭に入れて手指の伸展を例にとって説明します。皆さんも一緒に考えながら読んで頂ければと思います。まず皆さんもよく脳卒中患者さんで指が伸びない患者さんをみたことがあると思います。

なぜ伸びないのでしょうか?

①指を伸展する筋につながっている神経細胞や神経路が損傷しているため

②前腕や手指の屈筋群の筋緊張が高くなっているため

③手指が拘縮しているため

原因としてこの様なことが挙げられると思います。

実際に臨床では、これら一つが単独で起こっているのではなく3つが一緒に生じていることも少なくないと思います。臨床ではこれらの原因をしっかりと評価して、それらの解決を一つ一つしていかなければ指の伸展は出せないということです。

①に対しては損傷した神経や影響を受けた神経を回復させるために、とにかく興奮水準をあげることが必要であり、電気療法と振動刺激を併用していきます。その上で手指一本ずつ丁寧に伸張反射と皮膚筋反射を利用し伸展を促していきます。その際回数は100回を目安にして指に対してというより、脳から正しい命令が送られていることを確認するつもりで促通をすることが重要と考えます。

②に対しては、緊張した筋を伸張した状態で筋腹に振動刺激を5分以上行うことが必要です。通常は振動刺激をすると3分程度は緊張した筋が収縮してきますが、それ以降に緊張が緩んでくることが確認できます。現在振動刺激は痙性に対して有効であるということが証明されています。振動刺激後に制限されていた動きに対して促通をかけることで随意運動の改善と相反神経支配により更に筋緊張の緩和が図れることが多くあります。

③に対しはレベルにもよりますが原因となる組織を特定し、それに対する対応が必要と考えます。手指周辺には細かい筋が多数存在するため、個々の筋に対する選択的なストレッチなども有効です。但しそれと共に制限された動き対する促通が必要で、軽い随意運動を100回も行っていくことで痛みなど出さずに目的とした指伸展の可動性が出てくるのです。

 

そして今回の体験会でも促通反復療法によって、多くの患者さんに対して大きな効果を出すことができました。特に今回の体験会は創始者である川平先生がいらっしゃったことでいつもにも増して大きな成果が出ました。

先生は現在72歳ですが、そんなことは微塵も感じさせず、誰よりも沢山患者さんの治療を行い、誰よりも汗をかかれていました。

また、昨年度の促通法より進化しており、それを学べたことも私にとって大きな成果でした。ここで今回ご一緒できたことで感じたことを二つほど簡単にお話しします。

一つは無責任なことを言わない 先生は元の通りになるとは言いません!やはり脳に障害があり麻痺などが出ているわけですから、その状態での最も最善な状態にしていくというのが治療方針なのです。

現在は人生100年と長いような感じもしますが、50100歩とも言うように実際は人の人生は短いと思います。ずっと元の通りに戻ることばかりにこだわりすぎて、本当に元の通りになれば良いですが、現時点の医療では困難なことも実際は多いわけですから、患者さんに曖昧なことを言って無駄な努力をしてもらうことも良くないのではないかと考えます。

もちろんできるところまで回復を目指してケアしていく必要はあると考えます。

もう一つは先生の治療は、患者さんの最終の形が見えているというところです。

これができると本当に患者さんに無駄な治療をさせないで短時間で大きな改善が可能となります。例えば歩行訓練であれば 川平先生は歩行の最終イメージができているため歩行しながら促通をしているとどんどん歩様が変化して良くなっていくわけです。

これは促通方法もさることながら、歩行中の評価がその都度正確に行えているかどうかということが大きいと考えます。

今回一週間川平先生とご一緒できたことは本当に大変貴重な体験でした。この経験を今後患者さんや脳卒中患者さんに関わる方々に還元していくことが使命であると考えます。

 

そして最後に重要なお話しがあります。実は私は今回のこの川平先生との講習会をもって中国での仕事を最後とします。

理由としては私事ですが妻が多発性硬化症という難病なのですが、結婚11年何とか妊娠することができ、単身で海外で仕事をすることが困難になったからです。

奥川先生はじめ応援して下さった方、そしてこのコラムを読んで下さった方、心から感謝致します。今後は日本にいることでTC研究会での勉強会に沢山関われると思います。

どうぞこれからもよろしくお願い致します。

本日もコラムを読んで頂き本当にありがとうございました!

 

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