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『装具について』  ―10月某日 川平和美先生が中国の悠康に来ました!―

TC研究会 理学療法士の梅澤拓未です。中国生活9カ月が経過しました。

仕事にもだいぶ慣れ リハビリの仕事と共に他の目的である 太極拳と中国語の獲得にも力を注ぐ日々を

おくっています。

やはり生の“技”と“言葉”に接することができることは何よりも 学び

の質 が素晴らしいということを実感しております。

 

そして何より一番大事なリハビリの仕事 促通反復療法(川平法)の創始者である 川平和美 先生が10月に悠康を訪れて下さり、直接ご指導を受けることができました。

今までと変わらず患者さんへの熱意とパワーが圧倒的で驚かされました。

 

具体的なお話しをすると…

来中直後に1日の実技を含めた講演会を開き、翌日悠康の患者さん15人前後のリハビリを実施、その間私達セラピストへの指導もしてくれました。

医師ご自身でリハビリを実際に行っていることは本当に稀なことだと思いますし、何とご年齢は70歳です。そしてその日の夜に次の中国国内の講演会の場所へ移動しました。

凄まじいパワーです。

また、私が川平先生が素晴らしいと感じるところは、とにかく良いものはEBM(科学的根拠に基づいた医療)を

研究データで出し、直ぐに取り入れていくところです。

 

その為、現在 『再生医療とリハビリテーション研究会』の代表理事を務めておりますし、促通反復療法では 持続的電気刺激療法、振動刺激痙縮抑制法、ロボットなどの併用をしています。

 

また、装具療法や杖の使用も必要であれば強く推奨しています。

 

私が手技療法などで往々にして感じることは、一つの手技だけで全て網羅できると言ってしまったり、そのような感じを出してしまうことだと

思います。この感覚は施術家や治療家にまだ多いように思います。医師である川平先生は科学的根拠に基づいた方法で治療法を見出しているため、実際に多くの患者さんへの効果が出せると考えます。

 

現状では全てが科学的根拠が出せるわけではないですが、それをなしで考えてしまうと、私たちが追求している “患者さんやクライアントの求めることの達成”が結果的にできないのではないかと考えます。

 

本日は今名前があがりました 前回のコラムでお話しした “歩行” に関連する『装具(下肢)について』のお話しをさせて頂きます。ちなみに装具療法のEBMは 脳卒中理学療法ガイドライン では 推奨グレードA(行うように勧められる強い科学的根拠がある) で 脳卒中治療ガイドライン では グレードAとB(Bは行うように勧められる) という結果が出ています。

但し、実際の臨床現場ではこの様な高い根拠が示されているのにもかかわらず 装具がうまく利用されていないことが多く見受けられます。

理由は沢山あると考えられますが、多くの原因は二つあると考えられます。

 

一つは、そもそも装具の知識が現場にしっかりと伝わっていないこと、二つ目はそれもあってのことだと思いますが理学療法士などが人にもよりますが装具を利用することをあまり良く思っていないということがあげられます。

 

実際に私も装具を良く思っていない療法士の方をみたことが何度かあります。療法士としては装具を使用せずに自分の技術で治すことに使命を感じていたり、装具の知識を殆ど知らなかったりすることが大きな理由のように感じます。

私自身の考えとしては、やはり患者さん・クライアントの希望や求めていることを一番に考えた上で装具を利用するかしないかをしっかりと検討していくことが重要なことだと思います。無理強いして装具を使用してもらうことが良いとは思いません。

 

それでは、少し下肢装具の目的についてお話しさせて頂きます。

一般的に下肢装具は力学的原理は3点支持機構であり、使用目的は大きく2つに大別され、『治療用装具』と『機能代償用装具』で、前者は 達成されるべき歩行様式を獲得するために早期から歩行訓練などを実施し、装具による適切なアライメント矯正と自由度を制限することで歩行の運動学習を促進し機能回復を目指す治療用の装具 後者は 障害により失った機能を代償し、パフォーマンスを最大限に引き出しADL・QOLを高める装具となります。

 

もちろん完全に大別できるわけではなく重なる部分は多くあります。

また、促通反復療法(川平法)では、装具は『めがね』のようなものとして例えられることがあります。

もちろん足関節の機能が完全に回復することが良いのですが、重度な麻痺であるほど現在の医療では底屈や内反を完全に抑制することが困難となっており、目が悪い方がめがねを使用するのと同様に下肢装具を使用することを推奨しています。

装具の役割を考える時に、人間の体を建物に例えると少しわかりやすいと思います。

ビルやマンションなどの一番下の階や土台が傾いていたらその建物はどうなってしまうでしょうか?イタリアのピサの斜塔は大変有名ですね。

完全に建物が斜めになってしまってしるので、現在は使用目的は観光用のみですね、危なすぎて住めないですよね。

もし人間の体であれば、どうでしょうか?

直立二足歩行の人間は建物の様に立っているのみでなく歩行するわけです。

最下層部にある足部が内反尖足した状態で着いた時には身体はどうなってしまうでしょう?

まともに歩けるわけがありませんよね!

それによって歩く距離が減少し体が弱くなったり、悪い歩き方をしていることで様々な筋や関節を損傷していって運動器を障害していることがとても多くあります。

皆さんも内反尖足で少し歩いてみて下さい。

お尻の筋肉は体幹の深部の筋は使用できないですよね、膝も過伸展しやすいですよね、前方への推進力が出せずスムーズに前に進みません。

健側が丈夫であればあるほど速度があがり、様々な筋や関節に半端ではないストレスがかかることも容易に理解できると思います。

 

装具はこれらの点を楽に解決してくれるわけです。

先ほども述べましたが、装具は制限するもので万能なわけではないですし患者さん・クライアントの希望を一番に尊重することが重要だと思います。

要は施術者・セラピストの自分の手で“治してやる”的な考えがありすぎるのが良くないと思っています。

その時に本当に必要なものを適切に選択できることが大事ですよね。

その為麻痺した足を治療していく上で理想の順番からいくと、機能の回復を目指した促通などの治療をやりつつ、装具を使用し殿部や体幹深部の筋を使用した歩行を獲得し、徐々に装具の制限を減らしていくということが良いと考えます。

もちろん重症度によって歩行のために装具がずっと必要な方も現在の医療レベルではいることは間違いありません。

後、装具で本当に大事なことは患者さん・クライアントに合っているものかどうかです。

悠康では、私たちセラピストがギプス包帯で患者さんの足の型を取り、その都度日本の装具士さんにその陰性モデルを送り、装具を作成しています。もちろんその都度動画を使用し装具士さんにも歩行などをみてもらいディスカッションをします。

この一連の流れがあるから、患者さんに本当に良い装具を着けてもらい良い歩行が獲得できます。

通常は装具士さんが陰性モデルをとるわけですが、日々直接触り歩様や足の細かい形を理解している私達が陰性モデルをとることに大きな意味があります。

装具の採型をするときは本当に細心の注意をし、完成する装具と歩行様式をしっかりとイメージしています。

 

今日お話したかったことは、装具の重要性で 私たち人間は直立二足歩行で歩行時には片足の時間が必ずあり その時の影響は計り知れないわけです。

もし現在皆さんの患者さん・クライアントさんで装具の必要性があったり、または装具が合っていなかったら、私たちのやっていることはただの自己満足にすぎないかもしれないということです。今後も装具について皆さんと一緒に勉強していければと思っております。

 

今回もコラムをご覧頂き本当にありがとうございました。

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